もっと話を聞いてほしいんだ-ADHDの子どもたちが、大人に伝えたいこと-

シャロン・サリーン/著、中尾由恵/訳

出版年月:

ページ数:384

ISBN:9784491056098

2,420 円(税込)

子どもたちの声には、親へのヒントがたくさん詰まっていた!
5つの「C」のアプローチで、ADHD児の子育てが変わる!
本書では、実際にADHDを抱えて生きている、さまざまな民族的・社会経済的背景を持つ子どもたちの声やエピソードをふんだんに掲載しています。
インタビューの中で語られる話には、子どもたちの自己認識やADHDであることに対する考え方、感じ方が詰まっています。
これらはきっとあなたが子どもたちの思考や感情、行動をよりよく理解したいと考えた時に、重要なヒントとなるでしょう。

■画期的な5つの「C」のアプローチ
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「学校はまあいいとして、宿題がね……特にママと一緒にやるのが苦痛。僕にとって宿題がどんなものか、ママはまったく分かってない。なんとか一緒に終わらせるけど、いつもけんかばかり。本当は1人でやりたいけど、できないからどうしようもない」―オリバー(9歳)
「私は、今この瞬間のことで頭がいっぱい。何でもすぐに忘れてしまうけど、実はそんな自分も嫌いじゃない。細かいことはあんまり気にしないの」―エラ(16歳)
「ADHDって、自転車で坂道を上ろうとしているのに、ギアが入ってなくて後ろに下っていくような感じ。一生懸命こいでいるのに、とにかく進まない。頑張っているからこそ、理不尽に怒ってしまうこともある」―アマリ(17歳)
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こうした子どもたちのリアルな声と、数十年にわたり多くの子どもたちとその家族を支援してきた臨床経験をもとに、著者がたどり着いたのが、
自己コントロール:self-Control
共感・思いやり:Compassion
協力・連携:Collaboration
一貫性:Consistency
称賛・祝福:Celebration
という、ADHD児の子育てにおける5つの「C」のアプローチです。
このアプローチを活用し、子どもたちの声にキチンと耳を傾けることで、家庭で日々発生する怒りや不満、苦痛、断絶といった問題に対して、持続的な解決策を導き出せるようになるでしょう。

■子どもたちにとってかけがえのない理解者・支援者となるためのガイドブック
各章の冒頭でその章のテーマを象徴するようなインタビューを掲載し、全体に具体的なエピソードを散りばめています。
第1部では、ADHD児の子育てにおける5つの「C」のアプローチについて概説し、ADHDや「学び方の違い」との付き合い方、ADHD脳の働きや実行機能の概要、正確な診断を受ける方法、ADHD脳との生活を親子で受け入れる方法をお伝えします。
続く第2部では、学校にまつわるさまざまな問題、具体的には、学力、宿題、セルフ・アドボカシー(自己権利の擁護)などについて取り上げます。
そして第3部では、家庭生活に焦点を当て、子どものかんしゃくや悩み、整理整頓、友達関係、テクノロジーの使用などについて詳しく見ていきます。
また役立つエクササイズや覚えやすいテクニックなど、効果を実感できるさまざまな実践的手法も多数掲載しています。
本書はきっと、あなたが子どもたちにとってかけがえのない理解者・支援者となるための手助けをしてくれるでしょう。

【本書・序文より抜粋】
どんな子どもを育てるのも大変ですが、ADHD脳を持つ子どもとなると、それはもう、親も床に身を投げ出して、子どもと一緒にかんしゃくを起こしたくなるほどの大変さです。しかも、子どもが10代になっても、楽になるどころかむしろ大変さが増すのが実情です。(中略)子どもが学校や人生で自立していくなかで、どうすれば成功に不可欠な実行機能を伸ばすためのスキルを身に付けさせてあげられるのか。そんな悩みを持つ親御さんにとって、本書は心強い一冊となるでしょう。
―ローラ・マークハム博士(『Peaceful Parent, Happy Kids: How to Stop Yelling and Start Connecting』著者) 

【本書への称賛の声】
忙しい親でも無理なく読んで活用できるボリューム。信頼性・権威性の高い内容ながら、堅苦しさは一切ない。知性、優しさ、そしてADHDを持つ子どもたちの生き生きとした声で溢れている。そんな魅力の詰まった本書は、読者の心に何度も栄養を与えてくれるだろう。文章も素晴らしく、ポジティブなエネルギーと確かな情報に満ちている。ADHDの子どもを持つすべての親の必携書だ。
—エドワード・ハロウェル(医学博士、ベストセラー『Delivered from Distraction』著者)

序文
はじめに

第1部:ADHDと共に生きる
第1章 ADHD児の子育てにおける5つの「C」
第2章 ADHD脳を理解すればすべてが変わる
第3章 ADHD脳を受け入れる

第2部:学校生活
第4章 学校のハードルを乗り越える
第5章 理性を保つ:自己コントロール(self-Control)の活用と指導
第6章 子どもの立場で考える:共感・思いやり(Compassion)を育む3つのステップ
第7章 持続的な解決策を考える:協力・連携(Collaboration)がカギ
第8章 一貫性(Consistency)をもって学校問題に取り組み続ける
第9章 称賛・祝福(Celebration):「よくできたね」以上の声かけを

第3部:家庭生活、その後の人生
第10章 大きな感情に対処する
第11章 タスクを遂行する
第12章 友達を作る:ADHD児のソーシャルライフ
第13章 デジタル生活:テクノロジーとの付き合い方

おわりに:希望と自信

謝辞
原注
参考文献

【著者プロフィール】
シャロン・サリーン(Dr. Sharon Saline)
個人開業の認定臨床心理士で、ADHDや学習障害、メンタルヘルスの問題が子どもや若者とその家族に与える影響に関する第一人者。多忙な臨床業務のかたわら、学校とも幅広く連携し、教室におけるメンタルヘルスの問題、学習方法の異なる生徒のためのツール開発、教師・保護者間のコミュニケーションについて取り組んでいる。未治療のADHDを抱える弟と共に育った独自の視点と、長年にわたる臨床経験をもとに、情報や感情、対立、ストレスの迷宮から、効果的な対話、支援、つながりへと、多くの家族を導いている。
心理学の知識と演劇の経験を生かし、講演家、ワークショップ・ファシリテーター、臨床家・教育者トレーナーとしても世界的に活躍。子どもや若者におけるADHDや実行機能の理解、10代の脳の仕組み、学習方法の異なる生徒との関わり、デジタル・シティズンの育成など、様々なテーマに取り組んでいる。ブラウン大学を成績優秀者として卒業後、ニュー・カレッジ・オブ・カリフォルニアで心理学修士号、カリフォルニア臨床心理大学院で心理学博士号を取得。ADDitude 誌の新シリーズ「Dear Parent Teen Coach」で連載を担当しているほか、多くのADHD や子育てに関するカンファレンスの講演者としても人気が高い。個人のニュースレター、ブログ、SNSでも、子育てに役立つ貴重な知見やアドバイスを無料で発信中。詳しくは、www.drsharonsaline.com、Facebook @DrSharonSaline、X(旧・Twitter) @DrSharonSaline へ。

【訳者プロフィール】
中尾由恵(なかお・よしえ)
大阪外国語大学(現・大阪大学)卒。医療系メーカーおよびIT系企業にて社内翻訳・通訳者として勤務後、フリーランス翻訳者として独立。医薬・ライフサイエンス分野を中心に、幅広い翻訳活動に従事している。