モバイル決済業界で革命を起こし続けたSquareの創業者が語る、無敵のビジネスの創り方!

「大事なのは、この世にある問題を解決することだ。この世を少しでもよくすることだ。イノベーションはあくまでそのための手段だ。本書にはその知見がある!」山形浩生 訳・解説

本当のイノベーションとは何か――ビジネスパーソンにとって今、知っておきたいことがここにあります!
ビジネスを成功させたい、アントレプレナー必読の一冊!

世の中をまっとうにしたいという動機がイノベーションを生み出す!

スマホにつけた小さな四角形の端末で、クレジットカード決済する――。そんな光景は、いまや当たり前になりました。どこのお店に行っても、気軽にクレジットカードが使えます。

一方、お店側からすると、かつてクレジットカードを扱うのはなかなか大変なことでした。端末が大きく使いづらいうえ、手数料も高い。しかも小規模なお店は、カード会社から相手にされなかったため、導入自体が難しかったのです。
著者であるジム・マッケルビーは、自身が個人事業主だったこともあり、カード会社と契約する困難さを身をもって体験していました。
そして、そんな理不尽をなんとかしたいと思い、Twitterの創業者としても有名なジャック・ドーシーとともに起こした会社がSquare(スクエア)でした。
Squareは、旧態依然とする業界を打破するために、猛然とイノベーションを起こし続けていきます。
誰もが簡単に使えるためにスマホで使えるハードウェアを開発し、皆の注目を集めるために小さくてカワイイデザインを施し、どんな小さなお店でも導入できるように手数料を下げ、多くの人が使用できるようにクレジットカード会社を説得しました。
こうして、いくつもの問題を解決してきた結果、誰も知らなかったこの小さな会社は、一躍モバイル決済業界でトップに躍り出ることになったのです。


イノベーションの積み重ね(スタック)でだれにも真似できなくなる!

「世の中をまっとうにしたい」という動機から課題を見つけて取り組むことで、イノベーションが生まれます。とは言え、それで終わりではありません。一つの問題を解決してもまた新たな問題が生まれます。そして、それを解決すると、また新たな問題が生まれます……。
だれも解決したことのないひとつの問題を解決する(イノベーション)ことで、次々と起こる新たな問題を解決して得られる一連の発明を、イノベーションスタックと言います。
例えば、Squareのイノベーションスタックは、次の通りです。

「わかりやすい価格帯」「加盟料無料」「契約縛りなし」「小さくスタイリッシュなハードウェア」「素早い決済機能」「低い手数料」「万全な詐欺対策」……。

積み上がった数々のイノベーション。この積み上げ(Stack)が多ければ多いほど、競合他社に真似されにくくなります。実際、Squareは、いくつかの企業にビジネスモデルを真似されましたが、Squareのイノベーションスタックが大きかったため、どこも真似しきれずに撤退に追い込まれました。


なぜ、サウスウエスト航空はアメリカ最大の航空会社になったのか

イノベーションスタックが発達するのは、ほとんどが生存本能に突き動かされてのことだ。もし本当に新しい何かをやろうとしたら、いろいろ新しい問題に出くわす。問題を一つ解決すると別の問題が出てくるし、それも一つではすまないことも多い。この問題―解決―問題という連鎖が繰り返される果てに、独立した発明や相互につながり合った発明の集まりが手に入る。あるいは、失敗する。    (本文より)

イノベーションスタックを完成させた企業は、その市場で世界最大になります。それは、Squareだけではありません。
本書では、Square以外の企業でイノベーションスタックを完成させた企業も紹介しています。
アメリカを代表する金融機関の一つバンク・オブ・アメリカ、世界最大級の家具量販店のIKEA、そして元祖格安航空会社の雄であるサウスウエスト航空です。
バンク・オブ・アメリカは、当時富裕層相手の大口取引が基本の銀行業界で、誰でも口座を開くことができる小口取引を開始し、アメリカ最大の銀行にまで成長しました。
IKEAは、自分たちの家具を多くの人に手にとってもらうためにショールームを開設。分解式家具にすることでコストを抑え、低価格で提供することで世界中にファンを増やしました。
サウスウエスト航空は、交通手段が車と鉄道中心だった時代に飛行機で移動する文化を根付かせることに成功しました。
彼らは、なぜ業界最大になれたのか。彼らのイノベーションスタックには、どのようなものがあったのかについても本書で詳述しています。

起業家は珍しい。珍しすぎるくらいだ。でもそのスキルセットは、そんなに珍しいものじゃないし、あなただって持っているものだと思う。結局それは、ある一つの選択をするかどうかだ。つまり、だれも解決したことのない問題に取り組み、それを解決するために何でもやるか、ということだ。その第一歩は、自分にとって完璧な問題を見つけることだ。
本書にはチェックリストはない。あなたに地図を渡してあげられたらと思うけれど、地図なんて観光客用のもので、探検家の使うものじゃない。ぼくが自分の探検で描いた地図は、あなたの役には立たないけれど、イノベーションスタックなら役に立つ。壮絶な競争相手の攻撃から守ってくれる。かつてはイカレているとか不可能とか思われたこともできるようにしてくれる。そして、それをなんとか創り上げおおせたら、世界のすべてを前進させ、あなたは歴史に名を残す。
では行ってみよう。(本文より)

イノベーションスタックは、誰の仕事にとっても役立つ知見が込められています。ぜひ、本書を読んで、新たな気づきを見つけてみてください。


[著者プロフィール]
JIM McKELVEY(ジム・マッケルビー)
起業家、発明家、慈善家、アーティスト。スクエアの共同創設者の一人で、2010 年までは経営会議会長、現在もその理事を務める。2011 年には彼の印象的なカードリーダーの設計がニューヨーク近代美術館に収められた。また、オンラインコンテンツの経済を再構築するインヴィジビリティ社、IT 雇用に向けた研修を行う非営利団体ローンチコード、セントルイスの公共アクセス型ガラスアート加工スタジオのサードディグリーガラスファクトリーを創設している。2017 年にはセントルイス連邦準備銀行の独立ディレクターに任命されている。

【訳者紹介】
山形 浩生(やまがた ひろお)
評論家・翻訳家。開発援助関連調査の傍ら、科学、文化、経済からコンピュータまで広範な分野での翻訳、執筆活動を行う。
著書に『新教養主義宣言』『要するに』『訳者解説』『プロトタイプシティ』(共著)ほか。訳書にチャールズ・ウィーラン『経済学をまる裸にする』『統計学をまる裸にする』『MONEY もう一度学ぶお金のしくみ』、ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』、ピケティ『21 世紀の資本』、クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』『さっさと不況を終わらせろ』、エアーズ『その数学が戦略を決める』、伊藤穣一/ハウ『9 プリンシンプルズ』、マシュー・ハインドマン『デジタルエコノミーの罠』ほか多数。

[書籍情報]
書 名:INNOVATION STACK だれにも真似できないビジネスを創る
著 者:ジム・マッケルビー
翻訳者:山形 浩生
判 型:A5判
頁 数:320
発売日:10月7日
価 格:2,090円(税10%)
ISBN:978-4-491-04548-1
発行元:東洋館出版社