大人もときめく国語教科書の名作ガイド

山本 茂喜/著、野宮 レナ/絵

出版年月:

ページ数:160

ISBN:9784491053912

1,485 円(税込)

大人になった今だからこそ味わいたい、国語教科書の知られざる魅力

本書の概要

子どもの頃に誰もが読んだ国語教科書は、古今東西の名作を集めた珠玉のアンソロジーだった!長らく国語教育に携わった著者独自の審美眼で選んだ「大人もときめく」作品の数々。定番教材から知る人ぞ知る教材まで、授業では教わらなかった読み方や作品背景、よもやま話が満載。もう一度教科書作品を読み直したくなること不可避な、あの頃に戻れるブックガイド。

本書からわかること

国語教科書はすぐれたアンソロジー

小学校から高校まで、誰もが読んだ国語の教科書。読書は苦手という人にも、等しく文学との出会いを提供してくれた存在です。そして、その作品は不思議なほど心に残っています。たとえタイトルやあらすじを忘れていても、「クラムボン」や「エーミール」などの言葉が引き金となって、当時の思い出がよみがえってくることがあるのではないでしょうか。そんな色あせない教科書作品を、大人になった今の心でもう一度味わってみませんか?本書では、教科書作品が掲載されている現在入手可能な本もあわせて紹介しています。

国語教科書は、実は「ときめき」の宝庫

名作揃いの教科書作品の中から、著者がセレクトしたのは「ときめき」を感じる物語や詩。甘酸っぱい初恋のエピソードから、切ないファンタジー、愛おしい動物たちの物語、郷愁を誘う思い出、魂を揺さぶる文豪の名作まで、幅広い「ときめき」を堪能できるでしょう。それらは、大人になった今だからこそ胸に響き、深く味わえるものかもしれません。教科書作品を子どもだけのものにしておくのは、もったいないのです。

授業では教わらなかった読み方に出会う

本書では、作品の一部抜粋とあらすじのほかに、作品解説として、授業ではなかなか教わらない知識や読み方の一例を紹介しています。なじみのある教科書作品の意外な一面を知り、思いがけない深淵を覗くという経験ができるはずです。また、読者の方の年代や地域によっては、一度も出会ったことのない作品もあるでしょう。本書をきっかけに、教科書作品との新たな出会いが生まれることを願っています。

豊かな「余談」が作品の読みを深める

本書では、解説とは別に、著者のよもやま話も掲載しています。本筋から少しはずれた「余談」には、作者の経験や思想、時代背景など、様々な角度から見つめた作品の面白さが詰まっています。授業でも、先生が脱線した時の話がなぜか印象に残っていませんか?味わい深い「余談」によって、作品の読みがさらに深まるでしょう。

イラストレーターの野宮レナさんに、素敵な漫画で本書をご紹介いただきました!

はじめに

第1章 「そのとき、胸の中で何かがはじけた」~初恋の日に戻れたら~
1 初恋が心の中ではじけるとき/「赤い実はじけた」
2 傷つきやすいあの子の思い出/「赤い実」
3 雪国のラブロマンス/「わらぐつの中の神様」
4 初恋の相手は先生だった? /「一房の葡萄」
5 人生を照らす光の戯れ/「バッタと鈴虫」
番外編 初恋は林檎の香り/「初恋」

第2章 「あなたの指をお染めなさい」~扉の向こうは不思議なときめき~
1 心の窓に映るもの/「きつねの窓」と「めもあある美術館」
2 蝶なの? それとも…… /「白いぼうし」
3 幻燈会の夜に/「雪わたり」と「やまなし」
4 文豪の熱烈なラブレター/「杜子春」

第3章 「ごん、お前だったのか」~愛おしい動物たちのお話~
1 届かなかった思いとは/「ごんぎつね」
2 究極の愛の形? /「スーホの白い馬」
3 無償の愛ってなに? /「幸福の王子」
4 穴に落ちた小さな命「ろくべえ まってろよ」
5 大空翔る「えらぶつ」よ/「大造じいさんとがん」
6 象たちの死が訴えるもの/「かわいそうなぞう」と「そしてトンキーも死んだ」
7 きつねざくらが咲くとき/「チロヌップのきつね」

第4章 「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」~遠ざかる思い出はセピア色~
1 蝶は見つめていた/「少年の日の思い出」
2 光り輝くマロニエの木/「モチモチの木」
3 雪の夜にやってくるもの/「かさこじぞう」
4 コスモスに託した思い/「一つの花」

第5章 「そんなにもあなたはレモンを待っていた」
~文豪もときめきがお好き~
1 愛する人に捧げます/「レモン哀歌」
2 あなたの魂、私があがなう/「銀の燭台」
3 瞳に映った私の姿/「白」と「どろんこハリー」
4 ベルリンの雪に消えた愛/「舞姫」

おわりに

山本茂喜  
1957年兵庫県生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業。筑波大学大学院教育研究科修了。国語教育学専攻。桐朋中・高等学校教諭などを経て、香川大学教育学部教授。2023年度より香川大学名誉教授。
趣味は落語、観劇、スポーツ観戦、アナログレコード鑑賞。
好きなものは温泉、ネコ、旬の果物。
主な著書に、『思考ツール×物語論で国語の授業デザイン』『思考ツールで国語の「深い学び」』『ビジュアル・ツールで国語の授業づくり』『魔法の「ストーリーマップ」で国語の授業づくり』(すべて東洋館出版社)などがある。

野宮レナ 
関西生まれ。漫画家・イラストレーターとして活動。趣味は神社仏閣巡りと海外ひとり旅。
主な著書に『おはヨウム!ロッコちゃん』『トルコの人がみんな親切だった話』『イタリア人の僕が日本で精神科医になったわけ』(すべてイースト・プレス)などがある。