CREATIVE SCHOOLS 創造性が育つ世界最先端の教育

ケン・ロビンソン/著 ルー・アロニカ/著 岩木 貴子/翻訳

出版年月:

ページ数:362

ISBN:9784491036663

2,640 円(税込)

TED史上最高の5600万再生!ノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイ絶賛!
世界中が注目する教育・能力開発の第一人者による
「創造性を育てる教育の未来像」とは?




○「学校教育は創造性を殺す」。ならば、創造性を生み出す学校とは?
 2006年、教育研究者ケン・ロビンソンはTEDトークで「学校教育は創造性を殺してしまっている」と題した講演を行った。その主張の中核は、「多くの生徒が非常に才能を持って生まれてくるのに、学校の中でそれが評価されず、むしろ抑圧さえされてしまうために、自分をダメだと思い込み、その才能を鈍らせてしまう」というものだった。この講演は大変な反響をよび、再生回数5600万、閲覧人数3億人超と、TED歴代でもっとも大きな影響が広がった
 「創造性を育み、子どもたちが能力を高める教育・学校はどのようなものなのか」? TEDトークで提起した問題に対して、ケン・ロビンソンは本書でその答えを述べている。それこそが、創造性を生み出す学校である。

○標準化をめざした「教育改革」の問題点
 現在世界中で、「教育改革」が叫ばれ、実際に行われている。それは、生徒間の競争を励行し、学習基準や評価の数値化を推し進めることで、水準を上げようとするものだ。しかし、これは問題を解決するどころか、むしろ悪化させてしまう。数値化・標準化を指標として過度に推し進めることで、結果的に個性や想像力、創造性は抑圧されてしまうのが、今世界中で起こっている「教育改革」の停滞と失敗の姿である。
 子どもたちは多くの才能と能力を持って生まれ、学校に通う。しかし、標準化・数値化の枠に当てはまらない才能は無視され、スポイルされてしまう。その結果、失われてしまう可能性は膨大になってしまう。

○世界最先端の教育から学ぶ、未来の教育の姿
 世界中の多くの教師たちは、教育改革の命令と、想像力を奪いかねない教育の実情に苦しんでいる。しかしその中でも、現在の組織やシステムの枠を外れて、子どもたちの能力を高める教育を行っている学校や、教育者たちが数多く存在する。
 画一主義に抗って子ども一人ひとりを見ていく学校、授業を通じて子どもたちが自ら学びはじめるような優れた教師、ICTを用いてインターネットを通じて子どもの学びを深める組織、家庭での学びを確かにするホームスクーリング……
 今現在でも、子どもの想像性を生み出す多くの取り組みが存在している。本書で紹介する、そうした世界最先端の学校の姿から、変化し続ける社会で、自分らしく個性や才能を発揮できるための、未来の教育の姿を読み取って頂きたい。


 

謝辞 1
イントロダクション 4

第1章 基本に立ち返る
教育標準化運動 29
政府主導の教育改革 33
学力の向上 34
標準化 36
競争 37
民営化 38
現状 38
外部性 46
学校から刑務所へ 48
無気力な生徒 49
不安とプレッシャー 50
基本に立ち返る 51

第2章 新しいメタファーを見つける
別の選択肢 60
工業的な教育 62
工業化の目的 64
工業化の構造 65
工業化の原理 66
人間の問題 67
真の代償 69
機構と有機体 71
経済的目的 78
文化的目的 81
社会的目的 84
個人的目的 86

第3章 学校を変える
ゆとりのある規則 93
二制度物語 94
人生の複雑さ 98
二つのプロジェクト 104
問題の根っこにあるこもの 109

第4章 生まれながらの学習者
学習の喜びと苦しみ 114
誰の問題か 119
自由に学ぶ 123
一人ひとりに合わせた教育を 125
知性の多様性 126
生徒が自分の関心事や得意なことを追い求められるようにする 131
生徒一人ひとりの学習速度に合わせる 133
一人ひとりの成長と成果を支える評価方法 138
遊びが大事 139

第5章 教える技
何のための教師か 147
教える力 149
やる気を引き出す 152
スイッチを入れる 154
生徒の力を信じる 157
生徒に力を与える 159
反転授業 163
創造的な授業 169
違うキーで教える 172
エンターテイメントとしての教育 176
教え方を学ぶ 178

第6章 学ぶべき価値があることとは
カリキュラムは何のためのものか 186
昔からある議論 187
まず手始めに 191
構成を提案する 198
芸術 200
人文学 200
言語 201
数学 201
保健体育 202
科学 202
正しい様式を見つける 204
一風変わった学校精神 209
命の通った民主主義 211
カリキュラムの原理 216

第7章 試験の問題
標準と標準化 221
いや増すハイステークス・テストの重要性 225
ハイステークスは金のなる木 227
全試験の親玉 229
成績評価(と試験)の必要性 233
象徴的ではなく本物の評価 一瞬で終わったけれども 236
学習としての評価 240
未来のスナップ写真 243

第8章 校長のための教育方針
校長の仕事 252
文化を変える 257
習慣 258
生息地 260
地を耕す 261
正門の向こう側 266
枠から外れて現状打破 269
成果を生み出すもの 271

第9章 家庭で教える
個人としてみる 277
人生はまっすぐな線じゃない 279
あなたの選択は? 279
保護者による指導 281
過保護な保護者 283
家庭から学校へ 285
よく子供に教えよ 295

第10章 環境を変える
成果のもと 300
成長のための政策 304
健康を促進する 305
生態系をはぐぐむ 307
公正さを促進する 308
ケアする 310
進路変更 311
違うやり方で 314
問題は? 324
変革を体系化する 328
あなたがとる行動は? 329

あとがき 332
脚注 359

ケン・ロビンソン

創造性とイノベーション、能力開発の第一人者として世界的に活躍。
TEDカンファレンスでのプレゼンテーション「学校教育は創造性を殺してしまっている」は、TED史上最高の5000万再生超。英国ウォーリック大学で芸術教育の教授を務め、現在名誉教授。2013年に経営思想家トップ50人「Thinker 50」に選出。著書に『才能を引き出すエレメントの法則』(祥伝社)、『才能を磨く』(大和書房)、『パワー・オブ・クリエイティビティ 個性と才能を思いっきり引き出そう!』『ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則』(以上、日経BP社)などがある。


ルー・アロニカ

編集者・作家。共著に『才能を引き出すエレメントの法則』(祥伝社)、『才能を磨く』(大和書房)などがある。


岩木 貴子

翻訳者。早稲田大学文学部、ダブリン大学文学部卒業。訳書に『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』(海と月社)、『ミック・ジャガー:ワイルド・ライフ』『フレディ・マーキュリー:孤独な道化』(以上、ヤマハミュージックメディア)等がある。