アーセン・ヴェンゲル -アーセナルの真実-

ジョン・クロス/著 岩崎 晋也/翻訳

出版年月:

ページ数:448

ISBN:9784491032658

1,980 円(税込)

プレミアリーグの名門チームを率いてついに20年が経った。
1996年に監督に就任したときは、誰も彼のことを知らなかった。
一見、大学教授のような風貌のフランス人はしかし、誰よりもフットボールに精通していた。
彼は賄賂やアルコール問題などのスキャンダルに揺れ、停滞していたチームを立て直すべく、練習や食事、そして戦術を一新する。
チームは生まれ変わり、観る者すべてを魅了する美しいフットボールを披露するようになった。そして1998年、国内リーグとFAカップで優勝し、二冠を達成。彼は瞬く間に時代の寵児となった。
快進撃は続く。彼は故国フランスから無名だが才能溢れる選手たちを次々と獲得した。パトリック・ヴィエラ、エマニュエル・プティ、ティエリ・アンリ…。多国籍の選手で構成した最強のチームを作り上げた。
2002年、チームは再び二冠に輝くと、2004年には前人未到の快挙となる無敗優勝を遂げた。インビンシブルズ(無敵のチーム)と呼ばれた彼らは、世界中から賛辞を浴びて伝説となった。
しかし、チームはやがて低迷する。アレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドや新たなビッグクラブ・チェルシーの台頭によって、チームは優勝から遠のくことになる。さらに、ライバルがスター選手を獲得していく一方で、自軍の主軸は次々と出て行ってしまう。
低迷するチーム、不満の声を上げ始めるファン。苦悩に満ちたチームづくりが続く。
復活の兆しが見えてきたのは、やはりスター選手の獲得だった。ドイツ代表メスト・エジルをはじめ、アレクシス・サンチェスなどが加入。チームは再び勢いを取り戻し、トップ争いに絡むようになる。
そして、2014年と2015年にはFAカップ優勝を遂げる。それは皆がずっと待ち望んだタイトル獲得だった。
監督就任20周年となる記念の2016年は、レスターの奇跡の優勝にすべてを持っていかれたが、久しぶりに2位につけている。
彼には哲学がある。それは、「勝利をもたらすだけでなく、人々に美しいものを見る喜びを与えること」である。彼は常にそのことを考え、実現してきた。
アーセン・ヴェンゲルとアーセナルFC――。
これは、フットボールの歴史を変えた革命家と名門チームのすべてを描いた長い長い物語である。

はじめに

第1章 無名の外国人
第2章 フランス革命
第3章 帰化英国人
第4章 栄光の試合
第5章 インビンシブルズ

第6章 UEFAチャンピオンズリーグ
第7章 誘惑
第8章 無冠の日々
第9章 流出
第10章 宿敵
第11章 メディアとの関係
第12章 インテリジェント・ワン

第13章 ファンの声
第14章 新しい夜明け
第15章 2014年FAカップ優勝
第16章 トレーニングと戦術
第17章 2014年夏
第18章 結論
第19章 聖トッテリンガムズデイ

ジョン・クロス

イズリントン・ガゼットで記者としてのキャリアをスタート。以来培ってきたアーセナルとの関係は他の追随を許さない。1999年からデイリー・ミラーに勤務し、現在はチーフ・フットボール記者を務めながらアーセナルの最新情報を発信している。


岩崎 晋也

書店員などを経て翻訳家。訳書に『アーセン・ヴェンゲル』『もうモノは売らない』(以上東洋館出版社)、『トレイルズ』(エイアンドエフ)、『海について、あるいは巨大サメを追った一年』(化学同人)、『自然は導く』(みすず書房)など。