誰もが彼を天才と呼んだ。孤高の天才、プリンス――。そんな彼が唯一心を寄せたジャーナリストが語る、真実の物語。
▶孤高の天才プリンスに寄り添った、元ローリングストーン誌・ジャーナリストが語る一級品の伝記、ここに刊行
音楽史における唯一無二の男、プリンス―。彼についての書籍は多く刊行されているが、ここまで繊細で多才なアーティストの側面を愛情深く、丁寧な作業で捉えた書籍はない。というのも、プリンス自身がインタビューにおいて真実を語ってきたとは言い難く、彼に関する情報は、断片的でまことしやかなものがあまりにも多いからだ。彼ほど一貫性をもって語ることが難しいアーティストはいないだろう。むしろ混乱こそがプリンスと言える。本書ではそんなプリンスの本質に迫るべく、著者のニール・カーレン独自の記録以外にプリンスの両親、バンドメンバーを始めとする関係者の証言、既出の情報を丁寧にまとめ上げ解釈を試みた一級品の伝記と言える。
▶元ローリングストーン誌・ジャーナリスト、ニール・カーレン氏とは
著者のニール・カーレンは、プリンスと同じミネアポリス出身。公式のインタビューがほとんど取れなかった 80 年代に唯一プリンスが詳細なインタビューを許可し、さらにロックオペラ「3 Chains o'Gold」を共作したジャーナリストである。彼は、プリンスのスタジオ兼住居のペイズリーパーク敷地内に埋めたとされるプリンスの声明書を書いたことも本書によって明らかにしている。ニールは 1990 年代以降、プリンスに関する一切の記事執筆を辞めていたが、プリンスが亡くなる 2 週間前にも電話で話すなどその親交は 30 年以上続いた。プリンスが亡くなり様々な書籍が刊行される中、あえて再び筆を執ったのは、初めてプリンスにインタビューを行った後に彼から貰ったメッセージカードに記された「本当のことを書いてくれてありがとう!神の恵みがありますように」が忘れられなかったからだという。
▶なぜ今プリンスなのか?
プリンスが亡くなる前年の 2015 年のシングルカット曲『ボルティモア』。これは米メリーランド州ボルティモアで警察に拘束された黒人青年が死亡した事件に警鐘を鳴らすものだった。その後プリンスがなくなってから 4 年後の 2020年にミネアポリスのペイズリーパーク近くで黒人男性ジョージ・フロイド氏が警察の拘束中に死亡する事件が起こった。
2021 年に発売された『ウェルカム・2・アメリカ』。このアルバムは 2010 年に製作され永くお蔵入りになっていたものだ。タイトル曲をはじめアメリカの分断に警鐘を鳴らすテーマのアルバムだ。かつてプリンスの表現は時代の 10 年先を行っていると言われたが、くしくも 2010 年に製作されたアルバムが、今の世界情勢に合わせる形で満を持してリリースされることになった。プリンスについてはデビュー以降様々な語られ方をしてきた。皮肉にも亡くなって以降の分断された世界で、今ほどプリンスが必要とされている時代はない。今こそ彼の生い立ち、メッセージに耳を傾けてほしい。
プリンス、もう一度君に会いたい――若き日のプリンスと著者が送った青春の日々!
プリンスのかつての仲間たちと名作『パープルレイン』。その背景にはどんな物語があったのか…。
著者に送られてきたプリンスからの手紙。「本当のことを書いてくれてありがとう! 神の恵みがありますように。プリンス」。だから、僕は真実を書こうと思う。
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