いま、なぜ校則が問題なのか?
「校則問題はもう遠い昔の話なのでは?」
「今の子どもたちはのびのびと過ごしているのでは?」
実は…
背景を変えながら、いまも
理不尽なブラック校則は子どもたちを苦しめ続けている
2017年、生まれつき髪が茶色の高校生が学校から髪を黒く染めるよう強要され、精神的苦痛を受けて不登校になったことから裁判を起こした。この報道をきっかけに行われた全国的な調査から見えてきたのは、生まれつき茶・金髪の高校生の2割が黒く染めさせられている、女子生徒の下着の色を検査され、没収さえされるといった「ブラック校則」の現状だった――
○体操着の内側に下着着用禁止 ○日焼け止めやリップクリームの禁止 ○「おしゃれ」だからタイツの着用は禁止 ○女子生徒の下着の色を検査され、没収さえされる ○指導対象の生徒に授業を受けさせない ○年功序列で非合理的な「部則」 ○以前よりも増加している「厳格な指導」 ………
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子どもたちの理不尽な苦しみが、子どもたちの、そして社会の未来の足かせとなっている。その現状を、どのように変えることができるのか。
2017年の裁判をきっかけに発足した「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」による詳細な統計データや苦しむ子ども・保護者の声のほか、司法・貧困・トランスジェンダーなどの多様な論点、そして保護者・教師自身からみた校則の問題など、多様な論点からブラック校則の現状と、その解決策を探る。
はじめに
第1部 調査から見えるブラック校則の現在
第1章 データで見るブラック校則 荻上チキ・岡田有真
第2章 ブラック校則の具体事例 荻上チキ
第2部 子どもたちの理不尽な苦しみ
第3章 子どもの安全と健康が脅かされる 内田 良
第4章 司法から見る校則 真下麻里子
第5章 校則が及ぼす経済的な負担 渡辺由美子
第6章 当事者研究からみた学校の生きづらさ 綾屋紗月
第7章 校則に内在する性規範 増原裕子
第3部 ブラック校則をなくすには
第8章 制服の「あたりまえ」を問いなおす 内田康弘
第9章 命を追いつめる校則 大貫隆志
第10章 教師が見る校則の功罪 原田法人
第11章 保護者から見る校則 大塚玲子
第12章 学校だけが悪者なのか? 内田 良
対談 ブラック校則から「ホワイト校則」へ 荻上チキ × 内田 良
ブラック校則 想定問答
○ ブラック校則といっても、昔に比べたらたいしたことない!
○ 校則は学校のルールを守るために必要だ!
○ 校則は学校との決まりごと。それが嫌なら学校をやめればいい!
○ 社会に出たら理不尽なことが待っているのだから、学生のうちになれるべき!
○ 日本人は黒髪、そうでない生徒は染めているのでは? みんなで揃えることが大事だ!
○ 成績上位校はともかく、成績低位で荒れている学校は厳しく指導しないと改善しない!
○ 学校は遊んだりおしゃれをするところではないから、取り締まるのは当然!
○ 生徒が華美な服装で痴漢にあったらどうする? 厳しく取り締まったほうが子どものためだ!
おわりに
荻上 チキ
評論家。「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」スーパーバイザー。著書に『ウェブ炎上』(ちくま新書)、『未来をつくる権利』(NHKブックス)、『災害支援手帖』(木楽舎)、『彼女たちの売春(ワリキリ)』(新潮文庫)、『ネットいじめ』『いじめを生む教室』(以上、PHP新書)ほか、共著に『いじめの直し方』(朝日新聞出版)、『夜の経済学』(扶桑社)ほか多数。TBSラジオ「荻上チキ Session-22」メインパーソナリティ。同番組にて2015年ギャラクシー賞(ラジオ部門DJ賞)、2016年にギャラクシー賞(ラジオ部門大賞)を受賞。
内田 良
名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授。専門は教育社会学。スポーツ事故、組み体操事故、「体罰」、教員の部活動負担や長時間労働などの「学校リスク」について広く情報発信している。ヤフーオーサーアワード2015受賞。著書に『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教育という病』(光文社新書)、『柔道事故』(河出書房新社)、『「児童虐待」へのまなざし』(世界思想社、日本教育社会学会奨励賞受賞)、編著に『教師のブラック残業』(学陽書房)ほか多数。