SDエイバル武藤嘉紀選手も絶賛。スポーツトレーナー、 アスリート、 スポーツ医学界で話題の書が待望の邦訳!
原書である『Concurrent Aerobic and Strength Training』では、コンカレントトレーニングの数ある研究をもとにエビデンスを明確にし、持久性トレーニング、レジスタンストレーニングをどのように構成するべきか、相互干渉作用はどのような際に起こるのかについて述べられています。この内容が、日本でもスポーツトレーナー、アスリート、スポーツ医学界で話題となり、ついに邦訳版を刊行することになりました。本書では、コンカレントトレーニングにおける栄養学的な考察、各年代におけるコンカレントトレーニングの影響、サイクリスト、ランナー、水泳選手、サッカーなどのパフォーマンスに対するコンカレントトレーニングについての最新の知見を紹介しています。
筋トレの効果、最大化できていますか?
持久性トレーニングとレジスタンストレーニングの最適な組み合わせ方がこの1冊に。
Ⅰ なぜ今、コンカレントトレーニングが注目されるのか?
多くのアスリートは限られた時間で効率的にトレーニングを行い、筋力と持久力を高め、最大限の力を発揮することが求められます。例えば水泳やサッカーにおいては、瞬間的に筋力やスピードを必要とする場面がある一方、持続した中でパフォーマンスを発揮することが求められます。
「Concurrent」とは、「同時に」という意味で、コンカレントトレーニングとは持久性トレーニングとレジスタンストレーニングを同時に行うトレーニング法のことです。健康志向の高まりからアスリートだけでなく広く一般の人からも効率的なトレーニング法として注目されています。
持久性トレーニング:持久系の能力を高める。主にランニング、サイクリング 等
レジスタンストレーニング:筋発揮の能力を高める。「筋トレ」やスクワット 等
※翻訳に当たって、原著の意図を最大限汲み取り誤解なく翻訳できるよう、一過性のもの(例:asingleboutofexercise)を“運動”、それを計画的に複数回・長期に行うものを“トレーニング”と表記し、持久系・有酸素系(例:endurance,aerobic)の運動・トレーニングを【持久性】、レジスタンス・筋力系(例:resistance,strength)の運動・トレーニングを【レジスタンス】にて統一して表記しています。
Ⅱ コンカレントトレーニングを実施する上でのポイント
コンカレントトレーニングには、「良い面」と「悪い面」が存在します。筋力と持久力を高めたい人にとって双方の能力を効果的に高めることができる一方、その効果を抑制してしまうことがあるのです。それは「相互干渉作用」と言われるもので、本書のPART2では、その急性及び慢性的な反応のメカニズムを生理学的な観点から詳細に説明しています。
そのため、コンカレントトレーニングを計画する上ではトレーニングの量、強度、様式、頻度、運動を実施する順序、セッション間の回復時間などを考慮する必要があるのです。
本書PART3では、スポーツパフォーマンスを向上し、成功へと導くための秘訣を実践的な視点から紐解いています。「コンカレントトレーニングをどのように計画するべきか?」「トレーニングの実施順序はどのように決めればいいのか?」「トレーニングセッション間にはどの程度の回復時間が必要か?」「トレーニングに対する適応を最適化するための栄養及びリカバリー戦略は何か?」これらの現場に即した疑問に答える内容となっています。
Ⅲ コンカレントトレーニングは生活習慣病の予防等にも効果的
コンカレントトレーニングは筋力・持久力の向上以外にも、生活習慣病の予防、高齢者の生活の質を維持・向上するのに大きく貢献します。コンカレントトレーニングを長期にわたって行うと、筋量の増大と脂肪量の減少を同時に引き起こしうるため、体脂肪率の減少のための理想的な選択肢であると考えられています。特に持久性トレーニングとレジスタンストレーニングを別日に行うようにすると大きな脂肪量の減少効果を持つことが示されており、肥満を予防及び治療するためのより効果的な手法と言われています。
しかし、ここでも年代や性別ごとにトレーニング量や強度、順序などを変化させ、最適なものにしなくてはいけません。PART4では、「各年代の目標達成のために最適なコンカレントトレーニングは何か?」「年代・性別ごとに注意すべき点は何か?」という疑問に答えており、健康維持増進のためにトレーニングされる方にとっても必読の内容となっています。
Ⅳ コンカレントトレーニングの知見はどのように役立つか
本書の知見及びその効果を広めるため、トレーニング指導者であり、Training Science代表の佐々部孝紀氏、パーソナルジムBeUの代表トレーナーの斎藤岳氏が「コンカレントトレーニング アンバサダー」に就任することになりました。そのお二人は、本書がスポーツトレーニング界でどのように役立つのか、以下のように語っています。
佐々部孝紀氏(Training Science代表)
近年『持久性トレーニングは筋力向上を阻害する』ということが分かってきており、現代の研究は『では、いかにその2つを両立するか?』といったフェーズに入ってきています。本書は現在進行形で進んでいるそれらの研究から、メカニズム~具体的な対策まで幅広く記されており、私自身も現場で使える新たな学びを得ることが出来ました。スポーツに関わるトレーナー、コーチの必読書。もちろん選手自身が読んでも役に立つ情報は満載です!
斎藤岳氏(パーソナルジムBeU代表トレーナー)
普段私はサッカーの現場でトレーニング指導などを行っていますが、最近になって持久性トレーニングが筋力向上の効果を阻害してしまうとされる相互干渉作用に着目し始めておりました。そんな中、本書を読ませていただいたところ、トレーニング変数の決定が難しいこの領域においての現時点で解明されている点を細かく説明しており、選手へのアウトプットに対して非常に役立ちました。ぜひトレーナー関係の方だけでなく、指導者の方にも読んでいただきたい一冊です。
さらにサッカー日本代表でも活躍され、現在スペインのSDエイバルに所属している、武藤嘉紀選手からも「最高のパフォーマンスを引き出すための最新の科学的エビデンスが満載です! 」と推薦の言葉をいただいています。
競技種目ごとに行うべきコンカレントトレーニングの内容も大きく異なります。PART5では、「どのような量や強度、トレーニング順序が望ましいか?実際の競技パフォーマンス向上につながるのか?」ということに対し、具体的なトレーニングプログラムを解説しています。指導に携わるコーチやトレーナー、アスリートが効果的なトレーニングプログラムを実践する上で心強いバイブルになることでしょう。
[著者・監訳者・翻訳者紹介]
● 著者
モリーズ・シューマン Moritz Schumann
ドイツ体育大学ケルン分子細胞スポーツ医学学科グループ長
2009年にケムニッツェ工科大学(ドイツ)及びグロスターシャー大学(イギリス)を卒業。2011年よりフィンランドのユヴァスキュラ大学で身体活動の生物学を専攻し、修士・博士課程を経て2016年に博士号を取得。2016年より現職。2019年より中国上海交通大学名誉研究員も務める。
ベント・ロンネスタッド Bent R. Rønnestad
インランドノルウェー応用科学大学運動生理学教授
ノルウェーオリンピック連盟運動生理学コンサルタント
リレハンメル大学にて運動生理学を学び、サイクリストのパフォーマンスに関する研究で博士号を取得。テレマーク大学運動生理学助教、リレハンメル大学運動生理学准教授を経て、2016年より現職。
● 監訳者
稲見崇孝
慶應義塾大学体育研究所専任講師
2011年中京大学大学院体育学研究科博士後期課程(健康科学系)修了。博士(体育学)。2004年愛知医科大学医学部附属運動療育センター、2013年エディスコーワン大学(オーストラリア)運動健康科学部、2014年早稲田大学スポーツ科学学術院を経て2017年から現職。
● 翻訳者
峯田晋史郎:大阪体育大学体育学部研究員
山岸卓樹:早稲田大学スポーツ科学学術院招聘研究員、淑徳大学総合福祉学部非常勤講師
山口翔大:慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科研究員、慶應義塾大学体育研究所研究員
[書籍情報]
書 名:コンカレントトレーニング ―最高のパフォーマンスを引き出す「トレーニング順序」の最適解―
著 者:モリーズ・シューマン/ベント・ロンネスタッド
監 訳:稲見崇孝
訳 者:峯田晋史郎/山岸卓樹/山口翔大
判 型:A5
頁 数:548
発売日:2月3日
価 格:5500円
I SB N:978-4-491-04157-5
発行元:東洋館出版社